富士フイルムがデータストレージ用の磁気テープ事業で大規模な生産体制の強化に乗り出す。神奈川県小田原の事業所に約100億円を投資し、製造能力を現在の5倍に拡大する計画だ。この規模での増産は過去20年間行われておらず、企業や組織が直面するデータ保護の課題への対応が急務であることを示している。 磁気テープによるデータストレージは、クラウドやSSDなどの新しい技術が登場した時代にあっても、大容量データの長期保存に優れた特性を持つ。特にサイバー攻撃による被害が増加する中で、ネットワークから独立した形でのデータバックアップ手段として、改めて注目が集まっている。 富士フイルムの判断は、こうした市場動向を反映したものといえる。データ漏洩やランサムウェア被害から身を守るため、企業は従来型の技術も含めた多層的なバックアップ戦略を求めており、磁気テープはその重要な選択肢となっている。小田原での投資により、国内外のデータ保護需要の高まりに対応する体制が整備されることになる。