ロマンティック・ルネサンス──ロンドンが仕掛ける「大人の色気」が帰ってきた
ここ数年の超ミニマルな「クワイエットラグジュアリー(静かな贅沢)」から決別し、イギリスのファッションシーンが大きく舵を切っています。2026年春夏のロンドンファッションウィークから顕著なのが、ロマンティック・ムーブメント。文学やシネマから着想を得た、大人っぽく官能的なスタイルが次々と登場しています。
ロンドンのデザイナーたちが打ち出しているのは、シアー素材、レース、ベルベット、そして大ぶりな袖や裾といった要素を組み合わせた装い。なかでも注目は「ダークロマンティック」というムード。映画『ブロンテの嵐』(マーゴット・ロビー主演)の世界観が、ロンドン、ミラノ、パリのランウェイを支配し、デザイナーたちはドラマチックなシルエットにレースやベルベットをたっぷりと組み込みました。
こうしたトレンドの背景には、世界中でロマンスに対する関心が高まっていることがあります。検索データが示すように、「ロマンス」というキーワードへの興味は5年ぶりの高さに到達。単なる季節的なトレンドではなく、文化的な気分の転換を示しています。
実際のストリートスタイルでは、ロマンティックなマキシスカート、スエード製のトレンチコート、そして仕立ての良いタイラードピースが静かに存在感を放っています。これらは速く消費される「マイクロトレンド」ではなく、長く愛用できる投資ピースとして考えられており、より成熟した視点でファッションを選ぶ大人の女性たちの心をつかんでいます。
シアーレースの透け感、流麗なドレープ、そして黒や深紫といった深みのある色遣いが組み合わさることで生まれるのは、控えめながらも確かな色気。派手さより洗練さを、流行より美しさを大切にする大人の女性たちにとって、このロンドン発のロマンティック・トレンドは、自分らしい魅力の表現方法として認識されつつあります。