西アフリカ最大の経済国ナイジェリアで、健康寿命を延ばすための生活の工夫に関する新しい潮流が生まれています。 同国で12月に開催された「ライフスタイル医学学会」の国際学術会議では、ナイジェリアが直面する大きな課題が浮き彫りになりました。生活習慣病(非感染性疾患)が全体の死因のおよそ3分の1を占めるまでに増加しており、その背景にあるのは不健康な食生活、身体活動の不足、ストレス、有害な習慣といった日常の行動パターンです。 この危機に対して、医療者たちが提唱しているのが「ライフスタイル医学」という考え方です。これは、医学的根拠に基づいて、より多く歩く、質の良い睡眠を確保する、植物性食品を中心とした食事をするといった、日常生活の中での具体的な工夫を通じて、慢性疾患を予防・改善しようというアプローチです。同学会の創設会長である医師のイフェオマ・モンジェ博士は、このライフスタイル医学が科学的に実証された、費用効率の高い慢性病対策だと説明しています。 学会では「医療だけではこのNCD危機を乗り切ることはできない」という強いメッセージが発せられました。つまり、薬や治療法の改善だけでなく、根本にある生活習慣そのものを変えることが不可欠だという認識が広がっているのです。 こうした背景には、ナイジェリア経済全体の変化もあります。健康と運動に対する意識の向上、可処分所得の増加に伴う余暇活動への支出増加、都市化と基盤整備の進展といった要因が、フィットネスや栄養、健康管理への関心を高めています。実際、有機食品・飲料市場は2033年までに約10.59%の複合年間成長率で拡大する見込みで、フィットネス機器市場も同期間に5.77%の成長が予測されています。 先進国と異なり、医療システムそのものが十分に整備されていない発展途上国では、このシンプルで実践的な「生活工夫による予防」というアプローチが、特に重要な意味を持ちます。ナイジェリアの事例は、医学的な最新技術よりも、毎日の選択の積み重ねが、国全体の健康寿命を左右する可能性があることを示唆しているのです。